冬の寒い日に外にいると、顔や手は冷たくなりますが、おなかの中まで冷たくなるということはありません。人の身体は、表面や内部、場所によって温度が違います。手足や顔など、身体の末端や表面の温度は、季節や環境の影響を受けます。一方、身体の内部の温度は、脳や心臓などの大切な臓器の働きを保つために高く安定しています。身体の内部の安定した体温を「中核温」といい、これを測れば一番正確な体温が得られますが、普段簡単に測ることはできません。
身体に負担をかけず、中核温に近い温度が測れる場所として、ワキの下や口中(舌下)、耳、直腸などを用いています。日本では、ワキの下が主流になっています。ワキの下をしっかり閉じて、中核温近くまで温まるのにおよそ10分かかります。この温まった時の温度を平衡温といいます。また、口中で測った場合の体温は、ワキの下よりも0.2〜0.3℃高いのが一般的です。最近普及しつつある耳で測る体温計は、中核温に近い鼓膜とその周辺の温度を瞬時に測ります。
測る場所によって、検温に必要な時間や方法が異なり、得られる温度も基本的には違います。耳の平熱、ワキの下の平熱など場所ごとに、それぞれ平熱がありますので、あらかじめ知っておくことが大切です。
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